医学部受験において
「数学は基礎固めが重要」というフレーズは、
受験生の皆さんは何度も耳にしていることでしょう。
しかし、それがどれほど大切で、
どのように取り組むべきかを理解している人は
意外に少ないのではないでしょうか。
基礎ができていないのに
応用ができることはあり得ません。
数学の応用問題は、
基礎知識の組み合わせで作られていることが
非常に多いです。
基礎をしっかり固めることで、
応用問題にも対応できるようになるのです。
逆にいえば、
基礎が固まってない状態では、
応用問題には対応できないということです。
特に医学部入試では
「基礎力で高得点を狙う試験」が多く、
基礎問題の取りこぼしが命取りになります。
特に国立大学の医学部では、
基礎問題で完答を狙うことが合格への近道です。
逆に、誰もが解ける基礎問題をミスすると、
かなりの致命傷。
それだけで合格のチャンスを失いかねません。
チャート式の選び方と活用法
数学の学習には、
チャート式を活用するのがおすすめです。
もちろん、それよりも易しく薄い解説&問題集から入門して
チャート式に移行するのも良いと思います。
チャート式にはさまざまなレベルがありますが、
自分の現在の実力や目標に合ったものを選ぶことが重要です。
一般的には理系の大学を目指す受験生は
青チャートのレベルが適正だと言われています。
だからといって、
数学が苦手な受験生が
いきなり青チャートにチャレンジしたところで、
自爆することは必至です。
ますます数学が嫌いになってしまうかもしれません。
ますます苦手意識が増幅してしまうかもしれません。
だから、医学部専門予備校によっては、
青チャートよりも一段レベルが易しめの
黄チャートのマスターを徹底させているところもあります。
そして、このやり方で
実際に数学が苦手な受験生も
医学部に合格させていますので、
いかに「基礎が大事か」、
いかに「レベルに合った教材選定が必要か」
がお分かりいただけると思います。
この認識を軽視してしまうと、
数学嫌いを増加させてしまう可能性もあります。
世間的には、生徒も保護者も、
難しい問題ばかりが掲載されている問題集、参考書、
あるいは難しい問題ばかりの授業をする塾、予備校が
ありがたがられる傾向(風潮)があることは否めません。
たとえば、
「うちの高校の数学は赤チャートを使うので入試対策は万全です」
と中学生の父兄に向けての学校説明会で
親にアピールをしている進学校もあるそうです。
「難しさ」をありがたがる保護者は、
この説明を聞いて安心します。
しかし、実際は、
毎年難しすぎてついていけないが
続出しているそうです。
数学の落ちこぼれ組が
大量発生してしまったという
話も聞いたことがあります。
ですので、繰り返しますが、
背伸びをせず、
無理をせず、
身の丈に合ったレベルの教材で
基礎を固めることが重要なのです。
ちなみに各チャート式のレベルは
以下の通りです。
白チャートは、
基礎力の養成に最適。
数学が苦手な人や基礎からやり直したい人向け。
黄チャートは、
標準的なレベルで、
多くの受験生にとって最適な選択肢。
青チャートは、
標準から応用まで幅広く対応。
医学部受験生の多くが使用。
赤チャートは、
最難関レベルの問題集。
特に難関大学や数学に強い学校で採用されることが多い。
先述した、
赤チャートをカリキュラムに組み込んでいる高校では、
生徒が日々難問に取り組むことで、
数学への抵抗感をなくし、
応用力を養ってもらうという教育方針だそうです。
とはいえ、基礎が不十分なまま進めると逆効果です。
黄チャートや青チャートなどで基礎を固め、
その上でステップアップすることをおすすめします。
基礎固めとスポーツの共通点
数学の基礎固めは、
スポーツのトレーニングと似ています。
例えば、野球のバッティングでは、
基本的なフォームやスイングの練習を
繰り返し行わなければ、
試合でヒットを打つことはできません。
同様に、
数学でも基本的な公式や解法を何度も練習することで、
試験本番での得点力が磨かれるのです。
また、スポーツでは基礎練習を怠ると、
いざ試合で思うように体が動かないことがあります。
数学も同様で、
基礎ができていないと、
応用問題に対峙した際、
「何をどう使えばいいのか」が分からず、
手が止まってしまいます。
基礎を固めることは、
いわば「試験という試合」に備える
最も重要な準備なのです。
いつまでに基礎固めを終わらせるべき?
基礎固めをする時期は、
現役生と浪人生で異なりますが、
いずれも早めであればあるほど良いです。
現役生の場合は、
高校3年生の夏休みの終わりまでに
基礎固めを終わらせるのが理想です。
授業の予習・復習を丁寧に行い、
夏休み中には基礎問題集や
チャート式を1冊仕上げることを目標にしましょう。
浪人生の場合は、
7月末までに基礎を徹底的に固めるべきです。
一度受験勉強を経験している浪人生でも、
基礎に抜けがあることは珍しくありません。
過去のミスを繰り返さないためにも、
まずは基礎を徹底的に復習しましょう。
効果的な基礎固めの方法
基礎固めを効率よく進めるには、
「一冊の問題集を完璧に仕上げる」ことを
目標にしてください。
あれこれ手を広げるよりも、
1冊の問題集を何度も繰り返し解く!
同じ問題を解くことで、
基礎知識が定着し、
自然と応用力も身についていきます。
また、解き方のポイントを理解する問題を解くだけでなく、
解説をしっかり読み込み、
解き方の考え方を身につけましょう。
公式や解法の丸暗記ではなく、
なぜその解法が成り立つのか
その筋道、ロジックを理解することが大切です。
さらに、解けなかった問題やミスした問題は
そのままにせず、原因を追求しましょう。
間違えた理由を明確にすることで、
次回は同じミスを防ぐことができます。
出遅れた場合の対策
もし夏までに基礎固めが終わらなかった場合でも、
焦らずに10月末までには基礎を完成させましょう。
スケジュールを立て直し、
必要な範囲を絞って
効率的に取り組むことが大切です。
基礎を省略して応用問題に進むのは禁物です。
基礎が不十分なままでは、
応用問題を解けるようにはなりません。
基礎を固めてから次のステップへ
基礎固めが終わったら、
秋以降は応用問題や過去問に取り組みましょう。
しかし、基礎が完成していない段階で
過去問に挑戦しても効果は薄いです。
まずは土台をしっかり作り、
その上で次のステップに進むことが
合格への最短ルートです。
焦らず、地道に基礎を固めていきましょう。
基礎力を武器にすれば、
医学部受験の高得点勝負にも必ず勝てるはずです!