医学部を目指す受験生にとって、面接試験は避けて通れない関門です。
ほぼ全ての大学が実施していますからね。
それだけ多くの医学部では、単なる学力だけでなく「人間性」を重視する傾向が強まっているということなのでしょう。
医師としてふさわしい人格を持った受験生は、学力、そしてそれに付随する処理能力のみならず、人と接する仕事、人の健康や命をあずかる責任の重い仕事であることは言うまでもなく、そのような自覚がない受験生は入学前に振い落としておかなければ、後で大変な事態になるという考えの現れでしょうし、実際、過去に「勉強ができるだけの困ったちゃん」が紛れ込んでしまい、苦慮する事態が発生したことがあるということがどの大学にもあったことの表れでもあるのでしょう。
実際にあった話ですが、解剖実習の際にご献体の耳をメスで切り落とし、その切り落とした耳を壁に貼り付けて「壁に耳あり」と言って笑った医学部生がいたという話も聞いたことがあります。当然、その学生は退学処分。
しかし、勉強は出来るが、このようなある意味狂った学生が試験だけでパスして医学部に入り込んでしまうこともあるのです。
だから、このような事態にならないよう、大学側も「人間を見る」ことを重視するのです。
面接試験では、このようなことを念頭に入れて臨みましょう。
受験生の人柄や情操が特に見られる、ということです。
医学部の気風と面接試験の特徴
多くの、いやすべての大学といっても良いでしょうが、医学部は「良医を育てる」ことを使命としています。
だから、単に試験にパスする能力のある学生を集めるのではなく、「医師としてふさわしい人物」を選ぶことに重点を置いています。
そのため、在学生や教授陣の間でも、互いに切磋琢磨しながら学び続けようという気風が醸成されています。
いや、もちろん全ての大学の医学部がそうだというわけではありませんが、そのような気風の医学部が最近は増えてきています。
こうした環境を維持するためにも、面接試験では受験生の「人柄」「情操」が重視されるのは当然と言えましょう。
過去の合格者の話を聞いても、学力だけでなく人間性が評価されていたことが分かります。
これは、大学が築いてきた雰囲気を壊すような人物を入学させたくないという意図もあるからでしょう。
主張は正論かもしれないけれども、なんだかトゲのある物言いをして和を乱す人物はいらない。
いちいち権利を主張して問題行動をとるような面倒な人物もいらない。
これが大学の偽るざる本音なのでしょう。
医学部の面接試験で見られるポイント
面接官は、受験生の内面的な資質や価値観を見極めるため、さまざまな角度から質問を投げかけます。特に以下の点が重視される傾向があります。
・質問の意図を理解できているか
単に暗記した答えを並べるのではなく、質問の本質を捉え、適切な返答ができるかどうかが試されます。
・倫理観や感情の機微
医師としての倫理観や、人としての感情の豊かさ、美的感覚などを問われることもあります。
・素直で誠実な対応ができるか
小手先のテクニックではなく、素直な心で真摯に答えられるかどうかが重要です。逆に、反抗的な態度や尖った意見ばかり述べるような受験生は、「最もいらない人間」として評価されかねません。
・品性は表情や態度に出る
日頃の振る舞いがその人の品性を形作ります。面接時だけ取り繕うのではなく、普段から上品な言動を心がけましょう。特に、言葉遣いや態度、表情などは面接官に強く印象を与える要素です。下品な振る舞いや軽薄な態度は、面接での評価を大きく下げる原因になりかねません。
医学部の面接試験に向けた対策
面接で大切なことは、単に「正解」や目の前の面接官が満足するであろう「正解らしきもの」をもっともらしく答えることではなく、誠実に自分の考えを伝えることです。
そのためには、以下のような心掛けをしましょう。
⇒礼儀正しく、柔らかい話し方を心がける
医師は患者や家族と接する機会が多いため、面接でも礼儀やコミュニケーション能力が問われます。
難しいことを噛み砕いて説明できるようにする
医学的な知識が求められる場面では、専門用語を並べるのではなく、分かりやすく説明できる力が求められます。
自分の言葉で語る練習をする
事前に用意した答えをそのまま話すのではなく、自分の考えや経験を交えながら、自然に話せるようにすることが大切です。
事前に用意するのは「キーワード」や「考え方」であって、文章そのものの「脚本」ではないとうことですね。
脚本の文章丸暗記タイプのマジメな受験生は、緊張してしまうとせっかく暗記した文章が丸ごと頭の中から飛んでしまい、面接現場でフリーズ、大量の汗と震え、結局何も話せなかったという事態になりかねませんし、実際そういう生徒は過去に何人も見てきています。
最後に
医学部の面接は、受験生の学力だけでなく、人間性をしっかりと見極める試験です。
そのため、型にはまった答えやテクニックに頼るのではなく、素直で誠実な態度で臨むことが最も重要です。
加えて、普段から品性を意識した行動を心がけることも大切です。良医を目指す受験生として、しっかりと自分の考えを持ち、それを伝える力を磨きましょう。