医学部の2次試験には、ほとんどの大学が面接と小論文が課されています(一次に小論というところもありますが)。
医学部で、学科試験だけではなく小論文の試験を実施する目的はハッキリしています。
多くの大学が発表している通り、「医師としての素養をみるため」。
医師の資質とまではいかなくとも、、「勉強では得られない受験生の人間性」を見ようという意図があります。
もちろん面接試験でもそれは見ますが、面接だけではなく文章からも「医師としての素質」、それに加えて文章から浮かび上がる「人間性」「思考パターン」をも読み取ろうという試みですね。
しかし、小論文試験を出題する意図は、それだけではないと考えた方が良いでしょう。
受験生の「国語力」を測りたいという意図もあります。
なぜかというと、医学部入学後は、専門書を読めるだけの読解力が必要とされるからです。
くわえて、レポートを書くための文章力も必要です。
これが無ければ、どんなに英語や数学で高得点を出せる学力があっても、医学部入学後、医学部生としてやっていけるかどうかは疑問です。
国公立大学の医学部志望の受験生の場合、現代文の学力は共通テストの国語で測ることができますが、私立医学部の場合、医学部入試の主要科目は、英語、数学、理科2科目です。帝京大学と昭和大学以外は、国語の試験は課されていません。
だからこそ、受験生の読解力と作文力、いわゆる国語力を測るために、小論文が課されるのです。
また、医学部だけにとどまらず、とくに推薦入試に顕著なのですが、こと小論文の試験に関しては、学科試験との違いを明確化し、インテレクチュアルな(知性的)能力から、エモーショナルな(情動的・感情的)能力を測定する方向へと向かっているのがここ近年のトレンドといえましょう。
そしてこの傾向は、文部科学省の新しい指導要領や、高大接続(大学入試)改革をめぐる議論の中でも出てくる「新しい学力観」、「正解のない問題に立ち向かう力」を重視する方向に向かっているといえます。